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2021年02月26日

衆議院予算委員会での世界遺産候補地米軍廃棄物に関する屋良朝博氏質問と環境省・防衛省答弁。現在の支障除去状況。

2021年2月25日に行われた衆議院予算委員会6分科会での、衆議院議員・屋良朝博氏による質問とそれに対する環境省・防衛省の答弁のうち、やんばるの世界遺産登録と北部訓練場返還地米軍廃棄物支障除去についての部分だけをまとめました。書き起こしではなく、話し言葉を理解しやすくするために宮城秋乃が手を加えています。また、文中(※1~4)の補足を最後に書いています。
衆議院予算委員会での世界遺産候補地米軍廃棄物に関する屋良朝博氏質問と環境省・防衛省答弁。現在の支障除去状況。


衆議院予算委員会での世界遺産候補地米軍廃棄物に関する屋良朝博氏質問と環境省・防衛省答弁。現在の支障除去状況。



屋良:奄美・沖縄世界自然遺産登録に向けた取り組みと見通しをうかがいたい。

鳥居自然環境局長:2017年に推薦した際にIUCNから延期勧告を受けたが、IUCNに指摘された事項についてすべて対応し2019年に再推薦した。ことし6月から7月にかけて行われる世界遺産委員会で審議されるので登録されるように最善を尽くしたいと考えている。

屋良:やんばるの世界遺産候補地は最近まで北部訓練場として使われていたエリアを含む。そのエリアの返還にともない防衛省により支障除去が行われたがその後も廃棄物の発見が後を絶たない。支障除去後に発見あるいは回収された米軍廃棄物の種類や量を把握していれば教えてください。

大西防衛大臣政務官:沖縄県における米軍施設の区域返還に際しては跡地利用特措法第8条第7項に基づき、土地所有者等への引き渡し前に防衛省において支障除去措置を講じている。北部訓練場返還地においても、2017年12月の引き渡し前に全域を対象とした資料等調査を行ったうえで支障除去措置の内容を土地所有者および関係機関に説明し資料等調査で特定した地点を中心に土壌汚染調査や廃棄物処理等を実施した(※1)。また、引き渡し前の支障除去措置を行うなかで確認した一部が地中に埋もれていた大型鉄板等については周辺に生息する動植物への影響を検討したうえで実施する必要があることから土地所有者との協議のうえ、周囲の環境に影響を与えることのないよう配慮しながら作業を行い今年度までに処分を完了した。引き渡し後に返還地から発見された廃棄物のうち原則、返還前に廃棄された廃棄物は防衛省で回収し適切に処分しているところである。

鈴木地方協力局長:引き渡し後に発見・回収した廃棄物等といたしましては、瓶・缶・プラスチック等の混合ゴミ、テレビ・エアコンの類、大型鉄板、空包類になります。混合ゴミは産業廃棄物として2018年度に1360kgを処理しており、2019年度以降も同様の混合ゴミを回収している。テレビ・エアコンについては計3台を2018年度に家電リサイクル法に基づき処分している。大型鉄板は計261枚、14670kgを2019年度から今年度にかけて回収し処分した。空包類は約15000発を回収し処理を行っている。防衛省としては今後の跡地利用に支障をきたすことのないよう土地所有者や関係機関と調整のうえ引き続き適切に対応していく。

屋良:ものすごい量ですよね。支障除去が完了と発表されたあとも(実質、支障除去が)行われ、しかも今年度まで続いていた。現在も続いているのではないかという現地からの情報(※2)があるが現在も続いているか。

鈴木:さきほども申し上げたが回収は終えたが処理はまだ途中のものもある。我々が重要だと思っているのは発見された廃棄物等について今後の土地利用に支障をきたすことがないように関係機関が連携して速やかに対応すること。新たに廃棄物等が確認された場合は必要に応じ予算を確保するなど土地所有者や関係機関と調整のうえ適切に対応していきたい。

屋良:世界遺産登録の審査を数ヵ月後に控えているなかでまだ支障除去が行われているというのは理解しにくい状態なので、その原因や状況を今後明らかにしていっていただきたい。14670kgの大量の鉄板が放置されており、その撤去作業が今年度ようやく終わったというのは支障除去作業としてあまりにも杜撰。すでに全体で約5億円かかっているのにまだ(実質、支障除去が)続いており、これで世界自然遺産にふさわしい大切な自然だということをアピールすることが本当に可能なのかと心配になる。支障除去がいつ終わるのかという目処をお答えいただきたい。

鈴木:土壌汚染対策法が定める手順をもとに外部有識者監修のもと、返還地全域を対象とした汚染等の蓋然性を把握するための資料等調査を行い、自然環境保全とのバランスを保ちつつ支障除去措置を実施した。ご指摘の一部地中に埋まった状態の大型鉄板等については周辺に生息する希少動物等への影響を調査したうえで実施する必要があることなどから土地所有者との協議のうえ周辺の環境に影響を与えることのないように配慮しながら作業を行い今年度中に処分を完了した。土地の引き渡し後についても返還地から発見された廃棄物のうち原則、返還前に廃棄された廃棄物については防衛省が回収し適切に処分をしてきている。繰り返しになるが、我々が重要だと思っているのは、今後の跡地利用に支障をきたすことのないよう関係機関が連携して速やかに処理すること。防衛省としても、新たに廃棄物等が確認された場合は必要に応じ予算を確保するなどして土地所有者や関係機関と調整のうえ適切に対応していきたい。

屋良:ということはまだ目処が立たないということでよろしいでしょうか。

鈴木:今後さらに廃棄(除去)しなければいけないようなものが出たり、そういうような通報やお知らせをいただければ適切に対応していきたいと思っている(※3)が現時点で大きな支障があるとは考えていない。

屋良:小泉大臣、環境省も連携をとって世界遺産に登録したいというふうにこれから国際機関にアピールしていくわけですが、それなのにこういう状況が放置されているのは整合性が取れていない。私は現場を見たが米軍廃棄物の残留が激しい。鉄板が除去される前に行ったが鉄板があちこちにあった。空包も歩いていたら(簡単に)探せるような状態であった。支障除去作業はたった1年しか行われなかった。なんで1年なのか。1年であの広大な森林の支障除去ができるわけがないというのが大方の見方であったが案の定このような状態になり追加追加で作業を行っている。世界遺産登録に向け待ったなしの状態で環境省としてもコミットしていく必要があると思うがいかがか。

小泉環境大臣:世界遺産登録は1回延期になっているので心待ちにされている各地域の方がいっぱいいらっしゃる。廃棄物の問題については防衛省から答弁があったとおり、適切に対応していて、今後、新たに廃棄物が見つかった場合も新たに予算を確保するなどしっかり対応するとのことなので、世界遺産登録に影響はないと認識している。しっかりと防衛省を含めた関係省庁や自治体と連携して進めていきたい。

屋良:しっかり連携していくことをお願いしたい。本当に大臣がおっしゃるようにみんな待っている。1回延期されて、またコロナで(世界遺産委員会の開催が)延期されたので。しっかりとした対応をお願いしたい。もう一つ懸念があり、北部訓練場返還地と現北部訓練場が隣接しておりたまに(※4)ヘリコプターやオスプレイなどの米軍機が飛ぶ。返還された世界遺産候補地に米軍ヘリが着陸したことがあって、あとでパイロットが現北部訓練場内ヘリパッドと間違えたと報告があった。そういうことが起こりうる地域である。米国との調整が大事になってくると思う。日米合同委員会に環境省も出席するようになっていると思うので、環境省からも米側に対し「ここは世界遺産推薦地だ、間違いを起こすな」と、言うべきことは言うぐらいの強い環境行政を行っていただきたい。

小泉:間違えないでほしいと思う。環境省としても伝えるべきことは伝え役割を果たしていきたいと思う。

補足

※1 この答弁のとおり、返還地全体の支障除去を行ったわけではない。行ったとしているのは、米軍車両が通行していた道路、元ヘリパッドとその周囲、ヘリが墜落した地点、の約5ヘクタール。しかし、支障除去を行ったとしている以上の場所も含め返還地内には現在も、自然環境に影響を与えずに回収できる地上の廃棄物が大量に散乱している。

※2 現在、北部訓練場返還地FBJヘリパッド跡の周囲の金属反応のある場所の地表にピンクのテープを打っており、その周囲を掘り起こし、金属反応物(主に空包)を撤去する作業を行っている。掘り起こす予定の場所の高いところの樹木等にピンクのテープを結びつけて囲い、その内側での作業が終わると別の場所にテープを張って場所を変えるということを繰り返している。これはIPP代表の河村雅美氏が入手した鉄板の撤去に関する資料には記されていなかった作業であり、延長後の履行期限前に鉄板の撤去が終了したので同一事業内の新しい作業として追加したのか確認が必要である。実質、この場所の再支障除去となるが、再支障除去ということで実施されているのか、また、その場合、現在の事業の履行期限後も作業を続けるのか、確認が必要である
(この確認作業は宮城はやりません)。
衆議院予算委員会での世界遺産候補地米軍廃棄物に関する屋良朝博氏質問と環境省・防衛省答弁。現在の支障除去状況。


衆議院予算委員会での世界遺産候補地米軍廃棄物に関する屋良朝博氏質問と環境省・防衛省答弁。現在の支障除去状況。



※3 嘘。返還地内で発見した未使用・不発の弾薬について発見者である宮城が県警に通報しており、県警から沖縄森林管理署へ、森林管理署から沖縄防衛局へと連絡が行っているはずだが、宮城への問い合わせは一切なく、回収も行われていない。

※4 「たまに」ではなく「頻繁に」の誤り。

また何か思いついたら追記しますがとりあえず投稿します。

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沖縄タイムス2021年2月26日
『沖縄の米軍北部訓練場 返還された土地に空包1万5千発と鉄板1万4670キロ』
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/712963?fbclid=IwAR07OY751d-DvpfeIBRXmR87OW7D-oyMWuAt3sCG6seosFdJROJ1W7uqgrg