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2021年06月25日

沖縄県警はなぜ北部訓練場返還地の弾薬を回収しなくなったのか。

今月の私に対する強制捜査に関する報道でも一部報じられていますが、2019年10月半ばから、2016年に返還された北部訓練場跡地で発見した未使用・不発の弾薬(以下「不発弾」)を通報しても、県警は回収しなくなりました。

その詳細をこちらに書きます。

2016年12月22日に返還され、2017年12月25日に地権者に引き渡された北部訓練場跡地は、現在は国有林ととなっています。なので、そこで不発弾が見つかり通報があった場合は、他の場所で見つかったのと同じように警察は対応しなければいけません(※1)。
※1 ネトウヨが「同跡地の不発弾は自衛隊が回収している」というデマをツイッターに書き込んでいるのを時々見かけますが、自衛隊法で、米軍施設の返還業務に伴う原状回復のため地方防衛局において処理するものなど、戦後に使用されたものは陸上自衛隊の処理すべき範囲には含まれていません。実際、支障除去期間中の弾薬処理に自衛隊が関わったという話はありません。

2019年10月半ばまで、同跡地で不発弾を発見し通報すると県警は現場での確認・回収をおこなっていました。しかし、それ以降、おこなわなくなりました。

県警はその理由として、
(1)跡地利用特措法第2章により、返還後に返還地で見つかった不発弾は防衛省が処理することになっている。
(2)沖縄防衛局と沖縄森林管理署が、同跡地で返還後に見つかった米軍由来の汚染は沖縄防衛局が担う、という協定を締結している。
と、しています。

また、県警は
〇土地の管理者(大部分が沖縄森林管理署)から要請があれば対応する。
ともしています。

しかし、

(1)の跡地利用特措法でいう支障除去は、返還地が地権者に引き渡される前までにおこなうとされており、引き渡されたあとにこの法は適用されません。

(2)の協定は、森林管理署長が引き渡し前から存在していたと認めたものに限り防衛局が対応する、としています。私が森林管理署に、森林管理署が通常警察がおこなう業務である確認(危険物であるかどうかや、引き渡し前から存在していたかどうかの判断)ができるのかと質問したところ、できないとのことでした(※2)。仮に私が不発弾のある場所の座標を伝えたところであの広い森の中から案内無しで探せるか聞いたところ、探せないとも言いました(※2)。
また、これは防衛局と森林管理署の間の協定であり、これをもって県警が不発弾に対する職務を免除されることにはなりません。市民は不発弾を見つけたら通常警察に通報します。その後、市民が森林管理署や防衛局に協力する義務はありません。市民の協力(現場案内等)が得られなければ、森林管理署も防衛局も対応しようがありません。
なぜ米軍廃棄物の残留を隠蔽しようとした信頼のできない機関に、それを告発している私が協力しないといけないのですか?

私は県警が回収に来なくなったあともしばらくは、不発弾を見つけるたびに通報をしました。その際、毎回以下のやりとりをおこないました。

生活安全課「返還地で見つかったものなので、森林管理署に連絡してもらえますか」
私「私は警察に通報したので、警察が回収しないのであればあとはお任せします」
生活安全課「通報の内容と宮城さんの連絡先を森林管理署に伝えて宮城さんに電話させてもいいですか」
私「いいですよ」

最初の一度だけ森林管理署から電話がありましたが(※2の質問はこのときに聞いたもの)、結局やりとりの途中で連絡が途絶え、その後は一度も防衛局や森林管理署から連絡がありません

最近は私は不発弾を見つけてもブログとSNSで報告するだけで、県警への通報はおこなっていませんが、銃弾の実弾1発を発見し、地元2紙で報道された際は、県警から電話が来て実弾がどこにあるかの確認がありました。しかし、それ以上の話には進みませんでした。

このような経緯で県警が回収しなかったために今も、世界自然遺産候補地である北部訓練場返還地に、米軍廃棄物の一部である大量の不発弾が残っているのです。

沖縄県警はなぜ北部訓練場返還地の弾薬を回収しなくなったのか。


参考にどうぞ!
『不発弾はとても危険です!見つけたら、すぐに警察に110番しましょう!』
https://www.police.pref.okinawa.jp/docs/2019061100015/